破魔矢と熊手とは?初詣や酉の市で授かる縁起物の由来と飾り方
初詣に出かけると、破魔矢や熊手を手にした人を見かけます。どちらもよく知られた縁起物ですが、どんな由来があり、どう飾ればよいのかまで説明できる人は、多くないかもしれません。ここでは、神社本庁の説明を軸に、国立国会図書館の電子展示会と台東区の案内も合わせて、破魔矢と熊手、そして熊手が並ぶ酉の市について整理します。各ページの内容は、2026年10月13日に確かめました。
縁起物とは
神社本庁は、神社の縁起物の代表として、初詣やふだんのお参りで目にする破魔矢や熊手を挙げています。縁起物とは、年の初めや縁日にお参りした人に授けられ、飾っておくと神仏に守られて縁起がよいとされてきたものだと説明されています。縁起物は、新しい年や季節の節目に、願いや感謝の気持ちを形にして身近に置く習わしともいえます。
破魔矢の由来
破魔矢は、その年の干支を描いた絵馬や鈴を付けた飾りの矢で、1年のあいだ飾っておく縁起物です。名前のとおり、魔を打ち破り、災いを払う矢として信仰されてきました。もとは破魔弓と組になったもので、その年の吉凶を占うために各地で行われた弓の行事が起こりだとする説もあります。地区ごとに弓の腕を競い、勝ったほうが豊作になるとして、作物の出来を占ったものだと神社本庁は紹介しています。
弓と矢は正月の男の子の遊び道具でもあり、江戸時代からは、子どもが無事に育つよう祈る縁起物として、飾りを施した弓矢を男の子の初正月や初節供に贈るようになったとされます。女の子の場合、これにあたるのが羽子板です。江戸の年の瀬の歳の市でも、しめ飾りなどと並んで羽子板が売られていたと、国立国会図書館のNDLイメージバンクは紹介しています。その後、形が簡単になって矢だけが魔よけとして残り、新年を迎える時期に神社から授かる品になった、というのが神社本庁の見方です。
熊手と酉の市
熊手は、商売の繁盛を願う縁起物として知られています。福をかき寄せるようにという願いが込められ、各地の鷲(おおとり)神社などで11月の酉の日に開かれるお祭りのほか、新年に多くの神社でも授けられます。NDLイメージバンクによると、酉の市は11月の酉の日に、大鳥の神をまつる寺社で開かれる祭りの市で、境内や門前には飾りを付けた熊手などを売る店が並びます。11月最初の酉の日が「一の酉」、12日後の次の酉の日が「二の酉」です。年によっては「三の酉」まであり、そうした年は火事が多いといわれて、火よけのお札やお守りも売られると紹介されています。台東区の案内では、2026年(令和8年)の浅草の鷲神社・長國寺の酉の市は、11月7日と19日です。その鷲神社は、江戸時代までは長国寺の境内にまつられた鷲大明神で、明治維新の神仏分離のときに独立して今の名になったと、国立国会図書館の電子展示会は伝えています。市では大小の熊手や八ツ頭芋、お多福の面などが売られ、商売の繁盛を祈る商人や職人でにぎわったそうです。神社本庁の用語の解説でも、酉の市は鷲(大鳥)神社の祭礼にちなみ、商売繁盛や開運を願って各地で行われる祭りとされています。
酉の市の始まりには、いくつかの説が伝わっています。
- 浅草の鷲神社の由緒によるもので、日本武尊が戦勝のお礼参りをした11月の酉の日を例祭の日にしたことに始まるという説
- 長国寺にまつられる鷲妙見大菩薩の開帳の日に、門前に立った市から始まったという説
- 足立の花又(花畑)の大鷲神社の近くで行われた祭礼をもととする説
国立国会図書館の「錦絵と写真でめぐる日本の名所」は、酉の市はもともと農具や古着、農作物などを売る農村の祭りで、農具の熊手が福をかき込むものと考えられて、しだいに町の人々にも広まったと説明しています。台東区の案内も、熊手は「かっこめ」と呼ばれ、福や財をかき込む縁起から、開運や商売繁盛のお守りとされていると紹介しています。NDLイメージバンクは、熊手が運や金銀をかき集める道具に見立てられたことに加え、福をわしづかみにする鷲の爪のような形だから力があるともいわれる、と説明しています。同じNDLイメージバンクの「霜月」では、宝船や米俵、千両箱、鶴亀などを付けた飾り熊手が求められ、熊手には福をかき集め、客を「とり(酉)込む」という意味も重ねられたと紹介されています。市では熊手のほか、芽がたくさん出る八頭や、小判のような色の黄金餅(粟餅)など、縁起をかついだ食べ物も売られていたそうです。江戸時代の終わりごろからは、山椒を使った切山椒という餅菓子も並ぶようになったといわれます。酉の市は、年の暮れの歳の市と並ぶ、江戸の年末の風物詩だったとも書かれています。酉の市は明治以降も続き、いまも東京都内の40を超える寺社で、大小さまざまな規模で開かれていると紹介されています。
熊手や破魔矢の飾り方
神社本庁は、お正月や縁日に受けてきた熊手や破魔矢は、神棚や床の間のような清らかな場所に飾るよう案内しています。破魔矢を飾るときの矢の先の向きについては、とくに決まった方角はないとされています。
まとめ
破魔矢は、年の吉凶を占う弓の行事や、男の子の初正月・初節供に贈った弓矢に由来するとされ、いまは矢だけが魔よけとしてお正月に授けられています。熊手は福をかき込む縁起物として、11月の酉の市や新年の神社で授けられます。どちらも神棚や床の間など清らかな場所に飾るとよいと、神社本庁は案内しています。
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